ヘルスケア分野で活用される人工知能 当面は医師のサポート役
医療やヘルスケア分野は、人工知能(AI)の活用領域として、大いに期待を集めている。IBM社のワトソンが、がんや難病患者の命を救ったという事例が大々的に報道されたこともあり、近い将来、医者がAIとロボットに置き換わるといった極端な意見を述べる識者もいるほどだ。
実際には、AIによる疾病診断や治療法の選択は、期待したほど成功していない。うまくいっているのは、CTやMRIの画像診断や病理診断など、画像に関係する部分だけである。しかも現段階では、AIの診断を全面的に信用するわけにはいかない。大量の画像の中から、問題がありそうなものだけを抽出するスクリーニングに使うレベルにとどまっている。それでも放射線や病理の専門医の仕事を楽にしてくれる可能性はある。
AIを医療のコアの部分に活用するのは難しいが、周辺分野なら十分に生かせるだろう。とくに個人健康管理は、技術的にも市場的にも可能性が大きい。
すでにウエアラブルの健康端末が普及しており、歩数や消費カロリー、脈拍数、呼吸数などが自動的に計測され、スマートフォンで管理できるようになっている。