心臓マクロファージを利用した不整脈の治療は期待できる
突然死の原因になるような重症な不整脈を自分の細胞で治せるようになるかもしれません。
今年3月、東京大学、千葉大学、日本医療研究開発機構の研究グループが、「心臓の中に存在している免疫細胞のひとつ=心臓マクロファージが不整脈を予防している仕組み」を発見しました。
心臓が血液を全身に送り出すポンプの働きをするためには、心筋細胞が収縮しなければなりません。心筋細胞は一個一個が「ギャップジャンクション」と呼ばれる小さな穴を通じてつながっていて、心筋細胞のひとつが収縮したあと、すぐに隣の心筋細胞が収縮することで正常な心臓の動きがつくられています。研究グループは、そのギャップジャンクションが正常に形成されるには、心臓マクロファージが必要であることを見つけたのです。心臓マクロファージが分泌する「アンフィレグリン」というタンパク質が、心筋細胞の表面にある上皮成長因子受容体を介して心筋細胞に正常なギャップジャンクションを形成するようにシグナルを伝え、心筋細胞同士が同期して収縮する仕組みを強化し不整脈を起こさせないようにしていることがわかったといいます。