著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

ベートーベンの難聴の原因 昔は先天梅毒説が有力だったが…

公開日: 更新日:

 梅毒はベートーベンが生まれた当時、今では考えられないほど多くの患者がいたため、先天梅毒は珍しい病気ではなかったと考えられます。ですから、ありそうな話にも思えます。もしベートーベンがそうならば、晩期先天梅毒ということになるのでしょう。ただそれが本当なら、まだ治療薬のない時代に57歳まで生きられたかどうか疑問です。

 ちなみに、先天梅毒は妊婦検診が行われている今の日本には存在しないと思われるかもしれません。しかし、残念ながら2016年には15例、2017年には9例が報告されています。2017年までに協力を得られた13事例の分析によると、母親の国籍は12名が日本で不明が1名。年齢は18~40歳。最終学歴は大学・大学院卒1名、高卒7名。8名が既婚、5名が未婚でした。性産業に従事した経験のある人は4名、生活受給歴がある人は2名でした。妊婦検診無受診3名、不定期受診3名、定期受診7名だったということです。

 梅毒に限らず性感染症全体に言えることですが、性感染症に対する無知や経済的困窮が感染拡大につながり、それは子供たちにも影響します。性感染症で人生につまづきたくなければ、そのことを常に考えて行動することが大切です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」