コロナ禍で「たこつぼ心筋症」にご用心 強いストレスで発症
なぜ、強いストレスがきっかけで心臓の先端だけが動かなくなるのか、はっきりしたことはわかっていません。ただ、災害に見舞われた被災地で中高年女性を中心に発症したケースが多く報告されています。心臓の収縮も自律神経の支配を受けているので、個体によっては血管に対する自律神経支配が過度になると、心臓にまで及んで異常収縮に至るのかもしれません。
コロナ禍の出口が一向に見えてこない状況で、外出自粛やテレワークの増加による運動不足、日々の不安や恐怖といった強いストレスを受ける生活が続いています。ほとんどの人がこれまでとはまったく違った異常な環境下で暮らしているわけですから、たこつぼ心筋症が増加する条件が整っているといえるでしょう。
実際に米国では、新型コロナ感染症の流行下でストレス性心筋症=たこつぼ型心筋症の発症率が増加したというコホート研究の結果が報告されています。流行前は1.5~1.8%だった発症率が、流行期では7.8%に増えていたといいます。また、流行前のたこつぼ心筋症の患者さんは、入院期間の中央値が4~5日だったのに対し、流行期は8日と長くなっています。死亡率と再入院率は有意な差がありませんでしたが、コロナ禍では、たこつぼ心筋症の患者さんが増えるのはたしかなようです。