外科医がカテーテルや内視鏡を使う手術はどんどん進化している
ほかにも、近年になって「マイトラクリップ」と呼ばれる僧帽弁閉鎖不全症に対する内科治療も登場しています。先端にクリップの付いたカテーテルを下肢の静脈から挿入し、左心房と左心室まで移動させてから、うまく閉じなくなっている2枚の弁の両端をクリップで留める処置を行います。これも患者さんの負担が少なく、これからどんどん浸透していくのは間違いないでしょう。
■患者にとっても大きなプラス
こうしたカテーテルを使った血管内治療がさらに広まっていくと、いわゆる人工心肺を使用した心臓外科手術を受ける患者さんが一気に減ることが予想されます。実際、TAVIの登場でそうだった時期があります。
TAVIやマイトラクリップといった血管内治療の最大のメリットは、人工心肺補助による心停止を回避して全身への負担を軽減できる「低侵襲」なところです。そのため、外科手術でもできる限り患者さんの負担を少なくする低侵襲な方法が発展してきています。冒頭で触れた胎児手術のように、外科医がカテーテルや内視鏡を使いながら手術を行うのです。