ビフィズス菌が記憶力低下を予防する 名古屋市立大教授が実験で確認
アミロイドβ産生や脳内の炎症も抑制
道川教授は、MCC1274株を4カ月間投与したマウスの脳切片を、アミロイドβ抗体とミクログリアマーカー(lba1抗体)でも染色。これによって、活性化によって炎症性サイトカインを分泌し、神経細胞にダメージを与えるミクログリアの働きが抑制され、炎症性サイトカインの発生低下が明らかになった。
改めてこの研究が示すことを挙げると、MCC1274株で「記憶障害が予防」「アミロイドβの産生・沈着抑制」「脳内の炎症抑制」。動物実験ではあるものの、アルツハイマー病発症に関わる3つの要因にMCC1274株が影響を与えたことになる。ほかのビフィズス菌で同様の研究結果を得られたものは、現在のところない。
「MCC1274株が生きたまま腸に届くのか、死んだとしても菌体成分が効果がある可能性もあり、その場合は確実に腸まで菌体成分が届くのか。これらも含めて今後さらなる研究が必要。ビフィズス菌MCC1274株は安価で安全であり、認知症の7割を占めるアルツハイマー病予防に役立つ食品として期待できます」(道川誠教授)
アルツハイマー病を「治す」薬の研究は盛んに行われているが、臨床現場で一般的に使われるようになるのはまだまだ先だろう。その時まで、アルツハイマー病発症に関わるアミロイドβの産生・沈着は極力ゼロに近づけておきたい。確かな結果は出ていないにしても、試せるものには手を出しておく、という選択肢もある。