著者のコラム一覧
シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

アメリカでも…国民の意に反した中絶禁止の裏に宗教の存在が

公開日: 更新日:

 中絶はおよそ50年前に合法化されましたが、一部の信者が激しい反対運動を始めたのを見て、「これは使える」と考えたのが保守政治家たちでした。宗教を味方につければ非常にありがたい票田を得られるというのは、どの国でも同じです。そこで当時の大統領候補のニクソン氏と共和党が「中絶禁止」を叫び始めました。以来中絶は、保守陣営に欠かせない政治案件となったのです。

 そこで使われたスローガンが「家族の大切さ」でした。一見聞こえがいいのですが、彼らのいう家族は伝統的な父、母、子供という核家族で、シングルマザーの家庭や、LGBTQの家族は含まれていない。旧来の差別的な価値観です。

 この「家族」の文脈が、社会の激変を恐れる保守的なアメリカ人にアピール。この流れで保守政治家は、LGBTQの権利などにも反対し続けています。最近ではトランプ氏も、この文脈を利用して当選しました。

 つまり、これはただ中絶だけの問題ではありません。保守政治と一部の宗教がお互いを利用することで、今後同性婚や避妊など、他の権利も取り上げられてしまう恐れが現実になっています。

 日本でも、同性婚や夫婦別姓が実現しないのは、宗教の影響という論調が出始めているようですね。その真偽に疑問を感じる方には、アメリカの例を見てくれと言いたいです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  2. 2

    清原果耶ついにスランプ脱出なるか? 坂口健太郎と“TBS火10”で再タッグ、「おかえりモネ」以来の共演に期待

  3. 3

    だから桑田真澄さんは伝説的な存在だった。PL学園の野球部員は授業中に寝るはずなのに…

  4. 4

    PL学園で僕が直面した壮絶すぎる「鉄の掟」…部屋では常に正座で笑顔も禁止、身も心も休まらず

  5. 5

    「ニュース7」畠山衣美アナに既婚者"略奪不倫"報道…NHKはなぜ不倫スキャンダルが多いのか

  1. 6

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 7

    フジ火9「人事の人見」は大ブーメラン?地上波単独初主演Travis Japan松田元太の“黒歴史”になる恐れ

  3. 8

    ドジャース大谷 今季中の投手復帰は「幻」の気配…ブルペン調整が遅々として進まない本当の理由

  4. 9

    打撃絶不調・坂本勇人を「魚雷バット」が救う? 恩師の巨人元打撃コーチが重症度、治療法を指摘

  5. 10

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した