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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

長崎大病院で医療事故…「ロボット手術」の安全性と医療施設の選択基準

公開日: 更新日:

 がん手術で最初にロボット手術が適応になったのは前立腺がんで、その後、ほとんどのがんに広がっています。ロボット導入施設では、手術の主流といっていいかもしれません。

 そんな状況での医療事故ですが、今回は推測ながら、ロボットが直接の原因とは考えにくい。逆にいうと今回のような大量出血は、人間が直接行う内視鏡手術でも開腹手術でも起こる可能性があります。

 メスで血管を傷つけたり、電気メスで血管にヤケドができたりすると、出血のリスクになります。そのリスクは、手術方法を問わずに生じる恐れがあり、残念ながらゼロにはできません。

 リスクを大きくする要因のひとつが手振れです。人間が直接執刀する場合は、手振れがそのまま手術器具に伝わりますが、ロボットには手振れ防止機能がついているため、ロボットの方が安全性が高いといえます。

 では、ロボットを選ぶか、人間による開腹や内視鏡を選ぶか。その見極めは、手術を受けるがんに対してロボット手術が保険適用があるかどうかです。保険適用アリなら、従来の手術に対する優位性が検証されているので、ロボットを選択してよいでしょう。保険適用がなければ、優位性が担保されておらず、自費でロボットを選択することはお勧めできません。

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