認知症初期の人はどうして「盗まれた」と訴えるのか?

公開日: 更新日:

 ただ、過去の情報は覚えていますから、ものごとの理解も過去の記憶にアクセスし判断します。
5分前に財布を置いた行為そのものは忘れているので、「置き忘れた可能性」や「探さなければいけない」といった状況を理解し、次の行動を判断することができません。目の前にない=自分は関係ない=誰かが盗ったという発想になるのです。

 過去にお金のトラブルを起こしたことがある人や他人を信用しないタイプは、より物盗られ妄想を起こす傾向にあります。

 さらに、初期症状にやる気の低下や感情がなくなるといわれますが、「性格障害」が現れることも関係しているでしょう。患者さんは、それまでやれていたことができなくなって、精神的に不安になるため、他者に攻撃的になる傾向があるからです。

 私たちは外界の世界から五感を通じて脳の中に、ある意味自分に都合の良い現実世界をつくります。

 認知症の患者さんは、目に入った新しい情報を記憶できませんから、古い記憶をもとに脳の中で「引き出しに財布が入っている」と想像しています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇