著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【紫色尿バッグ症候群】増殖した腸内細菌が原因で尿が紫色に変色

公開日: 更新日:

 バッグ内の尿を培養することで、原因菌が判明するケースもあります。プロビデンシア属(Providencia stuartii)など、いくつもの腸内細菌が原因菌として知られ、そうした細菌がカテーテルに定着することで起こる可能性があるのです。

 ただ、発熱など感染症状が見られない場合(無症候性細菌尿)は、抗菌薬による治療は必要ないと考えられています。抗菌薬の感染予防効果は一時的なものにすぎず、長期の使用は耐性菌感染のリスクを高めます。カテーテル留置に伴う無症候性細菌尿に対し、抗菌薬などの投与は原則不要です。治療よりも、その背景になりうる便通のコントロールや、寝たきり、カテーテル長期留置、細菌感染などに対する予防医学の重要性が指摘されています。

 このほか薬剤が原因で尿が着色する場合もあり、抗菌薬ではセフォゾプラン(赤色~濃青色尿)や、ミノサイクリン(黄褐~茶褐色、緑、青色尿)などが知られています。尿への着色については次回もう少し詳しくお話しします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…