なぜ高血圧は治さないといけないのか? 全身の臓器に悪影響
【Q】 高血圧と診断されて薬を飲んでいます。しかし、病院に通うのは面倒くさいし、薬を飲み続けることにも抵抗感があります。高血圧だと頭痛や肩こりなどの自覚症状が出る場合があると言いますが、それもありません。なぜ高血圧の治療が必要なのですか?
【A】 高血圧は脳を含めてさまざまな臓器に悪影響を及ぼします。それを防ぐために高血圧治療は必要だと考えられています。たとえば、福岡県の久山町で、住民を血圧別にグループ化して長期間観察したところ、血圧が高いほど脳卒中のリスクが高いことがわかりました。脳卒中には脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の血管が破れる脳出血がありますが、いずれも高血圧はリスクとなります。
目については高血圧性網膜症があります。高血圧により網膜に酸素や栄養を送っている血管が破れたり、小梗塞を起こして網膜が機能不全となる病気です。部分的に壊死することもあり、視力障害を生じます。
また、血液をろ過して体内の老廃物や余計な水分を排出する機能を持つ腎臓は高血圧になると、その血管が動脈硬化を起こして腎臓を流れる血液量が少なくなり、機能が低下します。やがて尿として余分な水分を排出できなくなるため血液量が増え、心臓の負担が増えて、さらに高血圧に拍車がかかる悪循環になるのです。
(弘邦医院・林雅之院長)