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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【サル痘】18人感染確認…日本では一般的に広く使える治療薬はない

公開日: 更新日:

 WHO(世界保健機関)によると、現在報告されている患者の大部分は男性ですが、小児や女性の感染も増加しています。コンドームを使用しない男性間の性的接触による感染が多いことも指摘されていたHIV(エイズ)と似たような現象が起きている可能性も考えられます。淋病について取り上げたときにお話ししたように、性感染症の予防には、性行為の最初から最後までコンドームを使用することが有効とされています。

 サル痘に対し、国内で利用可能な治療薬はないのですが、海外には有効性が確認されている経口抗ウイルス薬があります。とりわけ「テコビリマット」は深刻な副作用もなく、欧米では天然痘やサル痘に対して使用可能となっています。英国で発生したサル痘患者がテコビリマットを服用したところ、治療開始から48時間でウイルス排出は止まり、10日間で退院できたという報告もあります。

 現在、日本では「特定臨床研究」として例外的にサル痘に対するテコビリマットの使用が認められていますが、さらなる対策が求められます。

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