「いつか」「どこに」「だれか」がわかりづらくなってくる
認知症の「認知機能障害(中核症状)」には、前回紹介した記憶障害のほか、見当識障害、失語、視空間認知障害、遂行機能障害などがあります。「アルツハイマーは初期に記憶障害が目立ちやすい」といったことはありますが、原因によらず、どの認知症でも症状が進行するにつれ、さまざまな認知機能障害が生じてきます。
見当識障害は、「今がいつか(時間)」「自分がどこにいるか(場所)」「この人はだれか(人物)」といった能力(見当識)が障害されること。
アルツハイマーでは記憶障害によって見当識障害が生じることも多く、初期では「今日は何月何日」といった日時がわかりづらくなるケースがよくみられます。
そして症状が進むにつれ「自分がどこにいるか」がわからなくなり、さらに進行すると「この人はだれか」がわからなくなる。認知症を発症したお父さん・お母さんが、息子・娘を見てもだれかわからなくなった--といった話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。