繰り返す気管支炎、肺炎、中耳炎…「原発性免疫不全症」かもしれない
PIDでは免疫機能に異常をきたすので、感染症を起こしやすい(易感染性)。「気管支炎や肺炎、中耳炎などを繰り返す」「重症化しやすい」「抗菌薬を使ってもなかなか改善しない」「弱毒性の病原体(例えばカビ)でも感染症を起こす」──。
「アレルギー、自己免疫疾患、悪性腫瘍(がん)も起こりやすい。がんを発症し、検査でPIDがわかるケースも」(金兼教授=以下同)
重要なのは、感染症、アレルギー、自己免疫疾患、がんを発症する前に、PIDを発見し、治療を行うことだ。
治療は、「感染症に対しての薬による治療および予防内服」「免疫の中で大きな役割を持つ免疫グロブリンの補充療法」「重症のPIDに対しての臍帯血移植や骨髄移植」など。免疫機能のどこに異常があるかで、治療法が変わる。
「患者さんに応じた適切な治療で、健康な人と同じように日常生活を送れるようになります」
■「10の徴候」でチェック
診断が難しいと前述した。そうはいっても小児科医ではPIDを念頭に置いて診察する医師もいるが、問題は成人のPIDだ。「PID=小児の病気」と捉えられる傾向があり、成人を診ている医師は、PIDの知識が一層乏しい。