中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

秋野暢子さんは「鬼退治終了」…食道がんは外科医の手術誘導をうのみにしない

公開日: 更新日:

 食事が減って体重が大幅ダウンするほか、飲食物が小腸に早く流れ込むことで、動悸(どうき)や発汗、めまいなどを起こすダンピング症候群に悩まされやすい。手術の後遺症がつらいのです。

 食道がんの化学放射線療法は、手術にとってかわる可能性を秘めています。国立がん研究センター中央病院は、ステージ1の食道がんを対象に手術と化学放射線療法に分けて5年以上の経過を追跡。その結果、5年生存率は、化学放射線療法が85.5%で、手術が86.5%。手術と同等の成績が示されたのです。

 化学放射線療法では、やや再発が多く認められたものの、その後に再発を切除する手術を追加することで、最終的な生存期間に有意差はありませんでした。化学放射線治療で食道を温存できる意義は大きいし、それで再発しても手術できることを示したのも、この試験のポイントです。

 これまで外科医は、「食道がんの手術後に再発すると、放射線治療が可能ですが、放射線治療の後には手術ができない」との説明で、手術に誘導することがありました。それで食道を失い、前述の後遺症に苦しむ人が少なくないのです。

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