家族に迷惑かけたくない…そう考えている認知症の親への対応は?

公開日: 更新日:

 家族も認知症の軽度の段階では病気の受け入れが難しく、本人が間違えたり失敗したりするたびに注意したくなります。しかし、認知症の方は、自分が失敗したことを忘れても、家族から注意されて嫌だったという感情は残りますので、さらなる自信喪失につながったり、家族に対する被害感情が生じたりします。もし本人が眼鏡を洗面所に置き忘れていたとしても、忘れていたことを指摘するのではなく、そっと戻してあげるようなさりげないフォローを心がけましょう。

 本人が家族に対して申し訳なさを感じ自己解決しようとするのは、家庭内では自分一人が認知症で、家族に負い目を感じているからです。家族がどれだけ配慮を行ったとしても、この状況は変わりません。このような場合は軽度の認知症当事者が集まる会への参加を勧めています。同じ悩みを抱える仲間同士で本音で話し合うことにより、「できないことが増えているのは自分だけじゃない」と気付き、やがて「認知症と付き合っていくしかない」と病気を受け入れ、家族を頼れるようになる方は少なくありません。お住まいの地域包括センターで、軽度認知症の方たちの集まりについて問い合わせるといいでしょう。

▽橋本衛(はしもと・まもる)1991年大阪大学医学部卒業、96年兵庫県立高齢者脳機能研究センター臨床研究員、2020年大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室准教授を経て、21年から現在の近畿大学医学部精神神経科学教室主任教授を務める。

【連載】名医が答える病気と体の悩み

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3
    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  4. 4
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 5
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  1. 6
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 7
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  3. 8
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  4. 9
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  5. 10
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」