日々幸せを感じられないのは「過剰負荷環境」にいるからかも
「過剰負荷環境」という言葉があります。これは、目に入るものや音や匂いといったあらゆる「情報」に囲まれている状況のことを指します。スマホが欠かせない現代人は、まさに過剰負荷環境の中で暮らしているとも言えますが、心理学者のスタンレー・ミルグラムは、人が過剰負荷環境にいるときの特徴を、次の4つにまとめています。
①短時間処理(他人に伝える情報を最小限に抑える)②情報の排除(重要でない情報を無視する)③責任回避(問題が起きても、人のせいにしたり、他力本願で自分から動こうとしない)④他者の利用(問題が起こったときなど、自分ではなく他人を使って連絡を取る)──。
①は人に道を聞かれたときなどに、必要最低限のコミュニケーションしか取らないことです。②は、道ですれ違う人など、見知らぬ人には関心を寄せないこと。③は電車で老人や妊婦さんが立っていても知らんぷりをする。④は、飲食店でオーダーを他人にやらせるなどの行為です。
こうしたアクションをしているなら、それは過剰負荷環境にいるということです。そして、必要最低限かつ情報を排除し、自ら積極的に行動を起こさないわけですから、好奇心が育つことは控えめに言ってもないでしょう。「人に関心を覚えない」「何かをしたいと思わない」……。心が冷めてしまう理由のひとつは、過剰負荷環境にいることが挙げられるのです。