堀田秀吾
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堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

「記憶」は想像以上に曖昧…容易に真実と塗り替えられる

公開日: 更新日:

「サブリミナル効果」という言葉があります。映像の中に、見ている本人が気づかないような速さで刺激となる映像を見せると、見ている人は無意識にその隠された映像によって影響を受けてしまう効果です。

 こうした効果は、会話の中にも潜んでいることがあります。次の実験は、実際に私が学生たちを対象に行ったものですが、「言葉のサブリミナル効果」とも呼べる効果を発揮しています。

 学生たちに、とある学園ドラマの映像を見せた後、その映像に出てきた教頭先生役の人について、私は「さっきのバーコード頭の教頭先生が」という具合に、意図的に教頭先生の悪口を言いながら映像を振り返りました。その後、映像で見た教頭先生の特徴を提出用のプリントに書いてくださいと伝えました。

 すると、半分以上の学生が頭髪の薄さについて書いていました。ところが、実際の映像の教頭先生の髪の毛はちっとも薄くなかったのです。言葉の中にもサブリミナル効果のように、虚偽の情報をちりばめることで印象を操作することができてしまう。記憶というものは、簡単に言葉によって変えられてしまうことが分かると思います。

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