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新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

「歩行が認知機能維持にいい」と聞いてすぐ実行する人の共通点

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さほど興味がなくても、嫌じゃなければまずは試してみよう

 運動と縁がない男性、そして奥さんの生活に大きな変化が起こったのは、男性50歳、女性48歳の時。新たに入会したスポーツジムのスタッフの接し方がお2人の好みにちょうど合っていたようで、行くたびに言葉を交わすようになったそうです。 

 会話が増えると、話題も広がります。「〇〇さん、旅行に行ってたんですって?」「この間教えてもらったカフェに行ってきましたよ」「ジムの近くにできたお店のランチがお得」などとおしゃべりするのが楽しくなってきました。

 また、スポーツジムの内容が「1人で、黙々とマシンを動かす」系ではなく、グループレッスン。会員同士との一体感が心地よく、そのうち顔見知りになり、時には一緒に食事に出かけるようにもなりました。

 それから6年。腕立て伏せを10回できるかできないかだった男性は、今では100回だってできる。一番年が離れたジム友達はまだ20代。ジムとは別にスポーツ大会に一緒に出場したり、公園で大縄跳びで遊んだり、河原でバーベキューをしたりと、以前では考えられなかった楽しみも見つけられたと話します。

 奥さんに至っては、年下の友人と海外旅行をした際、みな英語での会話を苦なくこなすことに衝撃を受け、毎朝30分、オンラインでの英会話レッスンを始めたとか。

「世界が広がった気分。仕事とは全く違うところでこんなに友達がたくさんできるとは思わなかった。長くジムに通えるように、食事内容に気を付けるようになり、お酒の量も少し減りました」(男性)

 不思議なことに、ジムで仲良くなった友達には、もともとは運動経験がなかったという人も多い。彼らも男性と同様、そのジムでの出会いを通して、いつの間にか生活スタイルが変わっていた──。そんな話をよくするそうです。

 Aということが合わなくても、Bであれば合うかもしれない。躊躇せずにいろんなことに試しに参加し、自分が楽しいと思うかどうかを見極めてほしいと、今年の5月21日号の本欄で提案しました。まさに、それです。予想外の楽しみが見つかり、男性が経験したかのように、別の世界へと連れて行ってくれるかもしれません。

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