「脂質異常症」の新たな標準薬…スタチン代わる「ベムペド酸」とは?
「血液中の脂質が増加した状態を脂質異常症と呼びます。とりわけ、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)は、心臓病の発症リスクを高める危険因子であることが知られています。脂質異常症の治療において、中心的な役割を果たしてきた医薬品がスタチンです。スタチンは、コレステロールの合成に必要な酵素の働きを抑えることでLDLコレステロールを低下させます」
スタチンの効果はまた、単にLDLコレステロールを下げるだけでなく、心臓病の発生リスクを低下させることが複数の大規模臨床試験によって明らかにされている。そのため、脂質の異常値を認める多くの人にスタチンが投与されていて、英国医師会の公式ジャーナルによれば、世界83カ国において約1億4500万人がスタチンを使用していたと報告されており、世界で最も服用されている薬のひとつと言える。
「しかし、スタチンを処方された患者さんの25~50%で、1年以内に服薬を中止することが知られています。スタチンは筋肉痛や頭痛などの副作用が生じることも多く、肝臓の機能を低下させることもあります。このような、日常生活に許容しがたい副作用によって、スタチンの服用が継続できなくなる状態をスタチン不耐と呼びます。スタチン不耐は女性や高齢者、糖尿病を有する人で多いことも知られており、スタチンに代わる効果的な治療薬の開発が大きな課題でした。そのような中、脂質異常症の新たな治療選択肢として注目されている薬が『ベムペド酸』です」