著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

パーキンソン病は胃の病気? 粘膜炎症ある持病で76%アップ

公開日: 更新日:

 パーキンソン病という神経の難病があります。筋肉が硬くなって、手が震え、歩くのが不自由になるという病気です。一部の認知症と関連のあることも分かっています。このパーキンソン病では、脳でドーパミンという脳内ホルモンが減少していて、「αシヌクレイン」という異常タンパクが増えていることが証明されています。それではこの異常タンパクはどこから来るのでしょうか?

 遠く離れた胃や腸の粘膜に分布する神経細胞から脳へと信号が送られていて、それに乗って脳に届くのではないか、という仮説が最近注目されています。胃の粘膜に炎症を起こすピロリ菌の感染は、パーキンソン病の患者さんで多いことが確認されています。またパーキンソン病の患者さんの腸の神経には、αシヌクレインが存在していることも確認されているのです。

 今年の米国医師会関連の医学誌に、また興味深い研究結果が報告されています。パーキンソン病がなく胃カメラ検査を施行した9350人の患者を解析したところ、胃粘膜の炎症などの病気があるのと、ない場合と比較して、その後パーキンソン病になるリスクが76%も増加していたのです。

 まだ今後の研究を待つ必要がありますが、パーキンソン病は実は脳の病気ではなく、胃や腸の病気であるのかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造