新薬の登場で認知症は早期発見がいよいよ重要になってきた
どちらも進行を止めるが…「レケンビ」と「ケサンラ」の違い
今年9月に承認されたケサンラは、臨床試験の第3相試験で、投与12カ月で7割近くの人でアミロイドβを完全除去できる可能性があることが示唆されました。
さらにケサンラをプラセボ(偽薬)に切り替えたグループ解析の結果も提示しており、患者背景を調整していないための解釈に留意が必要としつつも、「ケサンラからプラセボに切り替えた場合でも、76週までプラセボ群に比べて進行の抑制が認められており、ケサンラ完了後も疾患の進行抑制効果が認められる」という発表をしています。
この結果から、ケサンラは投与期間の目安を12カ月間としており、最長は18カ月。なお、レケンビの投与期間も基本的に18カ月となっています。アミロイドβの減少の程度を確認するために、ケサンラは投与12カ月を目安にアミロイドPETを実施することが定められています。減っていたら、ケサンラの投与はそこで終わりとなります。一方、レケンビは12カ月後のアミロイドPET検査は決められておらず、受ける場合は自費となります。
もうひとつ、レケンビとケサンラの大きな違いといえば、投与の頻度でしょう。どちらも点滴で、レケンビが2週間に一度、ケサンラが4週間に一度。いずれも病院で行うことになります。レケンビとケサンラの治療を行うことができる医師、医療機関、さらにはフォローアップの医師、医療機関にはそれぞれ条件が定められており、どこでも受けられるわけではありません。
個人的には、病院に通う頻度は少なければいいとは思っていません。2週間に一度の病院通いが、脳への刺激となることは往々にしてあるからです。患者さんの中には、2週間に一度の病院通いの日が、ショッピングの日や、お子さんやお孫さんとの交流の場になっていたりして、ポジティブに捉えている人も少なくありません。
しかし、人それぞれ事情がありますよね。これまでレケンビで治療を受けていたけどケサンラへ切り替えられるのか、またはその逆は──? これに関してはまだ通達がないので、今後決まっていくものとみています。
2つの薬の違いということで、値段についても触れましょう。11月13日に開催された中央社会保険医療協議会総会で、ケサンラの薬価は1瓶6万6948円とすることが了承されました。1日の薬価が8560円で年間の薬剤費は約308万円。これに対し、レケンビは体重50キロの人で298万円です。一見、ケサンラの方がやや割高ですよね。しかしケサンラは投与量は体重に関係ないので一律、レケンビは体重に応じて投与量が決まるので、体重が60~70キロ以上となると、レケンビの方が値段が高くなります。