(1)糖尿病専門医が警告…「こたつむり生活」が招く高血糖と脳・心筋梗塞
高血糖値が厄介なのはその影響がすぐに自覚できないことだ。そのため見過ごされがちだが、冬場にも多くなる脳梗塞や心筋梗塞にも関係するから恐ろしい。
「糖尿病の血管合併症は、細小血管障害である神経障害、網膜症、腎障害が有名ですが、冠動脈疾患、脳血管障害、抹消動脈疾患の大血管障害にも注意が必要です」
過去の研究によると、糖尿病患者では心筋梗塞、脳梗塞といった大血管障害の発症リスクが2~4倍高いことが報告されている。また、糖尿病予備軍でも冠動脈疾患の発症率が上昇することがわかっている。
「怖いのは、大血管障害は、直近1~2カ月の平均的血糖値を反映するHbA1cが必ずしも高くなくても発症リスクがあることです。世界的な大規模試験(UKPDS35)において、2型糖尿病の進行と細小血管障害並びに大血管障害の発症との関連が検討されました。結果は、細小血管障害はHbA1cが8%を超えた時点から上昇するのに対して、大血管障害はその値が5~7%の低いレベルから発症率が上昇することが示されています」
欧米では糖尿病患者の40~50%の直接死因が心筋梗塞であることがわかっていて、日本でも心疾患による死亡率は年々増加している。逆に2型糖尿病の人はHbA1cが1%低下すると、心筋梗塞の発症リスクが14%低下することが報告されている。