著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

若者に増加中の大腸がん…沖縄に見られる世界との共通点

公開日: 更新日:

 実は、大腸がんは生活習慣病的な側面があり、喫煙と飲酒のほか、肥満がリスクである一方、運動でリスクが下がることが分かっています。肥満を助長するものとして、脂っこい食事や運動不足はよくありません。デスクワーク中心の仕事や座りっ放しの生活もしかりです。いわゆるメタボにあてはまることが、そのまま大腸がんのリスクになります。

 そこを踏まえて注目したいのが、沖縄です。罹患率(全国がん登録2020)は全国ワースト3位で、死亡率(人口動態統計2023)は同2位です。全国的にはいずれも改善傾向ですが、沖縄は悪化しています。全国に比べると、早期発見率が低く、進行して見つかることが多く、その分5年生存率も低い。男性の罹患率と死亡率が高いのも特徴です。

 なぜ沖縄で大腸がんのデータがよくないかというと、戦後米軍の占領下になり、食事も欧米化して、コンビーフなどの加工食品がもたらされ、ハンバーガーやタコスなどが定着。ハンバーガーショップは、東京・銀座のマクドナルドより8年早くA&Wがオープンしています。伝統的な沖縄食は長寿食ですが、高カロリーな欧米食の影響が強く残っています。さらに欧米型の車社会も早く進んだことから、運動不足もあり、沖縄は肥満も多い。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…