(18)「温活」と長寿…温泉やサウナで長寿をサポート
「細胞の核の中で、DNAはヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付く形で収められています。これを『染色体』と言います。これにアセチル基などの化学分子が吸着すると、情報伝達やエネルギー生成といった生命活動を行うために遺伝子発現(DNAの遺伝情報を基にタンパク質などがつくられること)が行われます。このようにアセチル基が吸着する活動をするものをヒストンアセチル化酵素、外す働きをするものをヒストン脱アセチル化酵素と言い、Sir2は後者を指します」
ヒストンがアセチル化した染色体は不安定になり、遺伝子の異常が起こりやすくなり遺伝子発現が不安定になる。逆に脱アセチル化が進むと遺伝子発現は安定する。
「このSir2の機能をさらに強化するのがNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)です。細胞に存在する不可欠な補酵素で、主にエネルギー生成に必要とされ、ほかにもDNA修復、細胞調整など多くの生物学的プロセスに関わっています。NADはある意味、サーチュンの燃料的な存在であり、その量が多いほどサーチュンが活性化することがわかっています。また、NADは生体内で還元型と酸化型の2種類存在し、酸化型は加齢とともに減少していきます。これが老化の原因のひとつだとされています」