ADHDの人は寿命が短い…医学誌の発表に驚きが広がる
ADHD(注意欠如・多動性障害)の人の平均寿命は、障害を持たない人に比べ男性で7年、女性で9年も短いことがわかり、驚きが広がっています。この調査は3万人のイギリス人を対象に行われ、医学誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・サイキアトリー」に発表されました。
ADHD(注意欠如・多動性障害)は、遺伝から環境要因まで複合的な要因が関与して発症すると考えられています。特徴的な症状としては、注意を持続させるのが困難だったり、落ち着きがなかったり、行動の抑制が困難だったりなど。これらが持続的に認められ、そのために日常生活に困難が起こります。CDC米疾病予防管理センターによれば、3歳〜17歳の子供の約11%がADHDと診断。なお、日本では学童期の子供の3%から7%がADHDという数字が、国立精神・神経医療研究センターのサイトに記されています。
ではなぜADHDの人の寿命が短くなるのでしょうか? 直接の原因は明らかではありませんが、行動の抑制が困難なことが、理由の1つではないかと推測されています。例えば喫煙やアルコール乱用の傾向が一般人口の2倍、また事故や自傷などが原因による死亡も、一般人口の2.8倍という数字が出ています。さらにADHDと診断された人が成人期になると、衝動をコントロールすることが難しくなり、より危険な行動をとるようになる事もわかっています。
これまで特に子供の障害と捉えられることが多かったADHDですが、今回の調査結果を受けて専門家は、「成人のADHDにも、もっと注意を払う必要がある」とコメントしています。