(1)休日の「寝だめ」では解決しない…生産性を脅かす不眠問題
睡眠不足や頭痛など、欠勤するほどではないものの、心身状態の悪化によって仕事の生産性が低下する状態を「プレゼンティーズム」と呼びます。日本人労働者1万人を対象としたオンライン調査によれば、仕事の支障を来す心身問題として首の痛みや肩こりが最多で、腰痛、精神疾患(うつ病など)、頭痛、そして睡眠に関連した問題と続きました。
この調査において、プレゼンティーズムによる1人当たりの経済的損失は、精神疾患が年間で469.67ドル(約7万4000円)と最多でした。また、睡眠に関連した問題の経済損失は、年間318.8ドル(約5万円)でした。
睡眠不足が仕事のパフォーマンスを低下させることは想像しやすいと思います。とはいえ、仕事で多忙な日々を過ごしている人にとって、十分な睡眠時間を確保することは難しいかもしれません。また、日本の中高生54万5285人を対象とした調査においても、2004~17年にかけて、短時間睡眠者(7時間未満)が13%増加していました。
そのため、仕事や学校が休みの日には睡眠時間を長めに確保しようと思われる方も多いと思います。しかし、休日に睡眠時間を確保しても、平日の睡眠不足を補うことはできません。週休2日で働く日本人労働者1976人を対象とした研究によれば、平日・休日ともに睡眠時間が6~8時間の人と比べて、睡眠時間が休日は9時間以上、平日は6時間未満の人(休日に寝だめしている人)で、プレゼンティーズムの発生頻度が2.71倍、統計学的にも有意に増加しました。