「感謝日記」をつけるだけで幸福度が向上する…睡眠の質も改善
感謝を“見える化”したグループ①は、将来についてより楽観的になったり、自分たちの生活について肯定的にとらえられる癖がついたりしたことで、グループ②よりも運動をする機会が週に約1.5時間も増えたという点も特筆すべきことでしょう。
この研究からも、ささいな感謝、心の底からわき出る感謝問わず、感謝することを書き出し、記録するだけで大きな効果が得られることが分かると思います。誰でも実践できる習慣ですから、前向きな気持ちになれない人は、感謝できることを1日に3つほど書き出すといいとされる「感謝日記」を実行してみてください。
また、筑波大学の相川が行った「感謝するとwell-beingは高まるのか?」という研究(2011年)も興味深いです。well-beingとは、自分にとって良い状態。すなわち、精神面を含む自己利益にかなう状態にあることを意味します。
実験では、東京学芸大学の学部生122人(男性44人、女性78人)に協力してもらい、「感謝すべきことを数え上げるグループ」「日常の煩わしいことを書き出すグループ」「日常の出来事を書き出すグループ」の3つに分け調査しました。約1カ月半にわたる実践の中で分かったことは、「感謝すべきことを数え上げるグループ」は、他の2つのグループに比べ、well-beingに関連する指標でより肯定的な変化を示したといいます。また、その効果は2週間後も持続していたといい、感謝の気持ちを持つことがいかに心身に好影響をもたらすか示唆したものと言えます。