【新教授に聞く】「男性不妊」検査のハードルを下げ積極的な治療を

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血液検査による予測モデルを開発

 ──先生はその解決法として新たに血液検査による検査を開発されたそうですね。

「血液検査によるホルモン値の計測だけで男性不妊のリスクを予測できるAIプログラムを研究、開発しました。精度は約74%で、NOAでは100%の正解率を判定できました。精液検査の前段階のスクリーニングの位置づけで精液検査に代わるものではありません。しかし、実用化されれば一般医療機関でも受けられるという意味では男性不妊治療の発展に寄与するものと期待しています」

 ──高齢化が進み、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が増えて性機能障害の男性も目立ちます。

「男性の性機能障害は勃起障害(ED)と射精障害に大別されます。性機能障害で最も訴えが多いのがEDです。2023年に25年ぶりにEDの全国調査が行われ、中高年はもちろん若年層でもEDの有病率が高まっています。EDは心筋梗塞脳卒中といった心血管イベントを予測する因子との報告もあり、大きな課題です。射精障害は思春期から続く長期間のマスターベーションの方法に問題があり、膣内射精ができない若者が増えています。これらも含めて積極的に性機能障害に取り組んでいきます」

 ──EDといえば飲み薬が有名ですが、効かない人には他の治療法もあるのですか?

「プロスタグランジンE1製剤を直接ペニスに自己注射する、陰茎海綿体注射(ICI治療)があります。心臓の病気などでEDの薬を内服できない人や手術や脊椎損傷などで神経に障害がある人に対して行われる治療です。ただし、ごくまれに勃起時間が4時間以上続く場合があります」

▼小林秀行(こばやし・ひでゆき) リプロダクションセンター副センター長、同(泌尿器科)教授(男性不妊、性機能障害)。東邦大学医学部卒。東北大学大学院医学系研究科免疫学分野卒。日本学術振興会特別研究員、ペンシルベニア大学留学を経て現職。

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