平均寿命との差が縮小…健康寿命の延びと経済効果の気になる関係

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 厚生労働省は昨年から「第5次国民健康づくり運動」「健康日本21」をスタートさせている。平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加を目指す健康づくり運動の推進が狙いだ。

「平均寿命が長いだけでは日常生活に支障が出る期間も長くなるが、健康寿命が延び、国民の健康度が高まることは高齢者の社会参加を増やし働く人を増加させる。就業人口が増加し労働者個人の生産性が向上することは、GNPを押し上げる大きな経済効果につながってくる」(前出の河合氏)

■健康寿命が74歳まで延伸すると…

 経済産業省が昨年3月に発表した「健康経営の推進について」によると、20年から50年までの総人口は20%減少し、特に生産年齢人口は30%以上減少、高齢化の進展で約40%が高齢者、約10%が要介護者となり、経済維持が困難になると指摘している。一方、健康寿命が74歳まで延伸した場合、生産年齢人口の割合(生産年齢を74歳まで働けるとした場合)は66%に拡大されると述べている。

 健康な期間が長くなり、働く時間も長くなれば消費を動かし社会を支える側として経済効果は大きくなる。一方、健康寿命が短いと働ける時間は短くなり、病気・介護に必要な期間は延び出費は増える。健康な状態でより長く過ごすことは医療費の増加を抑制する。健康寿命の延伸は経済を成長させるだけでなく、中長期的な破綻が懸念される社会保障制度を持続可能にすることにつながるのだ。

(ジャーナリスト・木野活明)

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