ズバ抜けていた東海大相模の走と守
走者二塁で適時打を放った打者走者が、バックホームの送球の間に二塁を狙う。これは走塁の基本だが、私が見る限り、これも徹底していたのは相模だけだった。
1年生の清宮フィーバーに沸いた早実は、準決勝まで勝ち上がったものの、適時打を放った清宮しかり、他の打者走者も二塁を狙おうとしなかったのが気になった。
相模は準決勝の関東第一戦の守備でも、その練習量を物語るプレーがあった。1死二塁でセーフティーバントを決められたが、打球を処理した一塁手が、一塁は間に合わないと判断。瞬時に三塁へ送球し、オーバーランしていた走者をタッチアウトにしたプレーだ。相模には各地から能力が高い選手が集まっているのは確かだが、勝負どころでこんなことができるのは、いい練習をしている証拠である。
東海大相模の門馬敬治監督(45)とは、同じ神奈川で切磋琢磨してきた仲。今年6月に話す機会があった。全国制覇をするためには、小笠原と吉田を中心とした投手陣を、神奈川大会と甲子園で何イニングずつ投げれば消耗が少ないか、など質問攻めにされた。実に勉強熱心な男なのだ。
小笠原はドラフト1位候補。同じ左腕の桐光学園時代の松井(現楽天)と比べると、制球力は小笠原の方が上だが、松井の方が空振りを取れる凄みがあった。最速151キロであっても、打者が球速ほどのスピードを感じていないように見える。プロ入りするなら、その辺が課題になる。