「夏までには理想に」松坂大輔が“育ての親”にすべて語った
4月30日のDeNA戦で06年以来、12年ぶりに日本で勝利を挙げた中日の松坂大輔投手(37)が、横浜高時代に野球部長として「平成の怪物」を育て、本紙で「鬼の秘伝書」を連載中の小倉清一郎氏(73)と対談。日米通算165勝右腕の肩痛との闘い、引退の覚悟、中日入団の経緯、復活までの道のり、プロ20年目の思いなどを恩師に明かした。
■小倉「改めて文句を言わせてもらうと…」
小倉 今の右肩の状態は? ソフトバンク時代より良くなったのか?
松坂 良くなってきていますが、100%の状態かと言われれば、そうではないですね。自分でセーブしようという感覚はないんですけど、まだどこかで無意識に体がセーブしているなというのはありますね。100%の力で腕が振れているかといえば、感覚的にはそれはまだないです。自分がどう投げているかっていうのは、これだけ長くやっていれば分かっていますし、肩の状態と相談しながら、やりたい投球フォームにしたいと思います。若い時と同じ状態にするのは無理だと思いますけど、なるべく近くに戻せるように。
小倉 フォームのことはいつも文句を言っているんだけど、改めて言わせてもらうと……。
松坂 怖いな(笑い)。
小倉 重心が高い。メジャー帰りの上原(巨人)もそうだけど、もっと下半身が沈まないと。左肩を中に入れて首も振っちゃっている。岡島(元巨人など)じゃないけど、少し下を向いて投げてみたら? もっと重心が下がって腰も縦回転になって、いい時のフォームに近づくと思う。でも無意識の中で怖さがあるんだろうな。
松坂 そうですね。自分ではそういうつもりはないんですけど。防御本能なんですかね。
小倉 あのフォームで140キロなら、重心が下がってくれば145キロは絶対に出るよ。変化球はいいんだから。
松坂 変化球は(笑い)。
小倉 高校時代から「こっちの指にちょっと力を入れてみろ」と言うと、カットボール、スライダー、すぐに投げられちゃう。変化球の覚えはダントツ早かったよなあ。ストレートは、コントロールが悪くてダメだったけど。
松坂 ハハハ。自分が今、どういう真っすぐを投げているかは自覚しています。本当はストレートで勝負したいところがあるんですけど、変化球にちょっと変化をつけながら……例えば、同じようなスライダーばかりじゃなくて、少し縦気味に投げたりとか、ごまかして投げている感じではありますけど。
小倉 先発で勝利投手になるには五回以上で1失点だな。2失点なら打線の援護が欲しい。大輔に0点で抑えろというのは酷な話だもんな。
松坂 ハハハ(苦笑い)。打線が良くても、打つ打たないは、巡り合わせとか、噛み合わないこともあります。小倉さんはゼロ封は厳しいって言いますけど、援護が1点なら、先発としては0点に抑えないと、とは思います。
――ソフトバンクを退団して中日にテスト入団した経緯は?
小倉 コーチの打診があったって報道されたよな。
松坂 そう言われるんですけど、正式に言われたことはないんです。何でそういうウワサが出回っているのか……。
小倉 早い段階で中日からオファーがあった?
松坂 最初はデニーさん(デニー友利氏=中日の国際渉外担当)から「どうするんだ?」と聞かれて、「続けようと思っています」と答えて、「また連絡する」と。ホークスを退団する前にブルペンに入った映像があったので、それを送りました。日本でできるのが一番いいけど、日本じゃなくてもいい。オファーがなかったら1年間浪人してでも、またプロの世界に戻ってきたい、戻ってくるつもりでいました。