智弁和歌山4番はドラフト指名の当落線上…高校生はプロでやっていけるかをより慎重に見極める
オレらは担当した選手の親代わりみたいなもんで、彼らの人生を預かるわけだ。プロ入りしてからも食事に誘って悩みを聞いたり、大活躍したら連絡を入れたりと、その後もずっと関わっていく。そして、担当した選手のクビが決まると、球団から真っ先にオレたちに連絡が来る。この瞬間が何よりつらいし、選手に対して申し訳ない気持ちになるね。
特に高卒選手がクビになると、ほとんど野球しか知らないまま社会に放り出されるわけだろ。セカンドキャリアに難儀するケースが多いわけだ。そうならないよう、選手が望むなら、担当スカウトはコネをフルに使って次の就職先の口利きをしたりもする。
けれども、オレはもう若くないから、担当した選手の面倒をいつまで見きれるか分からない。選手自身のためにも、高校生はプロの世界でやっていけそうかどうか、より慎重に見極めるようになったのさ。
それだけに、高卒選手を育成ドラフトで指名するのは個人的に反対だ。伸びしろがあるかどうか、とりあえず取って様子をみるってのはいかがなものか。ソフトバンクの甲斐拓也や千賀滉大のように育成からのし上がったスターの陰で、ひっそりと散った選手の方が圧倒的に多いのだから。(おわり)