広島・菊池涼介は2017年WBCで“天国と地獄”を味わう…「本当に申し訳なくて」
菊池涼介(広島・32歳・内野手)2017年大会出場
「とにかくコミュニケーションを取ることが大事です」
2017年大会の侍ジャパンメンバーは仲が良かったという。
「いまカープで一緒になった秋山(翔吾=西武)さんを(中田)翔(日本ハム)といじったり……。秋山さんはそれまで何度も代表に選ばれていて僕とは絡みがあった。面識もないのにいきなり『アッキー!』とか言えないでしょ(笑)。平田(良介=中日)さんや(坂本)勇人(巨人)さん、(山田)哲人(ヤクルト)もいたし、野手は年が近いメンバーが多かった。筒香(嘉智=DeNA)とか年下のメンバーも、それを見て笑ったり。そんな中にウチ(内川聖一=ソフトバンク)さんや青木ノリ(宣親=アストロズ)さんとか、ベテランの人たちも入ってきてくれて、理想的な構成だった。いい雰囲気はつくれたかなと(所属はすべて当時)」
コミュニケーションといえば食事会だ。
「米国ラウンドの時、以前から知っている中田ファミリーと食事に行ったり、練習試合を行ったアリゾナでは、藤浪(晋太郎=阪神)、勇人さん、(鈴木)誠也(広島)と一緒にマエケン(前田健太=ドジャース)さんと食事に行き、(準決勝を戦う)米国の情報収集をしました。日の丸を背負った試合はとんでもなく緊張するので、リラックスする時間も大事です」
■練習試合2勝3敗がかえって吉
本大会前の練習試合、壮行試合は2勝3敗と苦しんだ。
「本大会が始まるまでの試合は全敗したイメージ。僕もそうですけど、みんなで『大丈夫か』って不安というか疑心暗鬼になっていたと思います。それが、いざ始まってみると破竹の勢いで勝って(6連勝で)準決勝まで行けた。『ひとまず米国ラウンドの準決勝には行こうぜ』と話していたのでホッとしました。練習試合で負けが続いて雰囲気がピリッとしたのが良かったのかな」
東京ドームで行われた2次ラウンドのオランダ戦では、守備のスーパープレーで日本を救った。
6-5の七回1死一塁、ボガーツ(レッドソックス)の中前へ抜けようかという当たりを横っ跳びで好捕。遊撃・坂本へのグラブトスで一塁走者の二塁封殺に成功したのだ。
日本はこの回を無失点で切り抜けると、タイブレークの延長十一回に中田の2点適時打で勝ち越し。8-6で勝利した。
「タイブレークになる激戦だったから、(七回に)どうやって打球を捕って、どうやってトスしたか、あのプレーのことだけが記憶から飛んでいるんです。それくらい必死で飛びつきました。1点の大事さを痛感した試合でした」
今も語り継がれる超美技の「天国」を経験した後は、「地獄」も味わった。舞台をロサンゼルスに移した準決勝の米国戦である。