侍Jの4強進出は“最低限ノルマ”達成に過ぎない…WBC米国ラウンドは「違う大会」と権藤博氏
メキシコは21年最多勝投手を筆頭に先発陣が強力
今回も強敵揃いで、準決勝の相手はメキシコかプエルトリコ。ともに投手陣の層は厚く、中でもメキシコは先発陣が強力だ。21年に20勝で最多勝を獲得して昨年も17勝のウリアス(26=ドジャース)、昨季ブレークしたサンドバル(26=エンゼルス)、昨年12勝のウォーカー(30=フィリーズ)、13勝のウルキーディ(27=アストロズ)と各球団のバリバリのローテーション投手が4人いる。スポーツライターの友成那智氏が言う。
「中でもサンドバルとウォーカーは絶好調。ウリアスも1次ラウンドはいまひとつでしたけど、彼が2試合続けて悪いということは考えにくい。左打者の多い日本戦には左腕のサンドバルが先発してくるかもしれません」
■メジャー抑えエース3人
プエルトリコはリリーフ陣が盤石だ。E・ディアス(28=メッツ)、A・ディアス(26=レッズ)、ロペス(30=ツインズ)と各球団の抑え投手3人を擁す。E・ディアスが16日のドミニカ共和国戦の試合後に負傷し離脱、所属球団のメッツは右膝の膝蓋腱断裂だと発表したが、リリーフ陣にはかつてレイズの抑えを務めたパガン(31=ツインズ)もいる。
「指揮を執るのはカージナルスの捕手として活躍したヤディエル・モリーナ。プエルトリコナインの親分格で、継投に長けています。今大会はリリーフ陣をうまくつないで戦っている。16日はオープナーを使って優勝候補のドミニカを下しています」(友成那智氏)
どちらが相手になるにせよ、侍ジャパンはひと筋縄ではいかない投手陣を相手にすることになる。
「過去4大会で日本代表が準決勝に進出しなかった例は一度もない。米国ラウンド進出の確率は100%。『史上最強』を謳う今回の侍ジャパンがフロリダ行きを決めたのは、最低限のノルマを果たしたに過ぎません。この日のイタリア戦もあくまで通過点というのが、チームの共通認識です。13年、17年大会はいずれも準決勝で敗れた。4強の壁を破るために集められたのが、今回のメンバーですから」(侍ジャパン関係者)
最後に権藤氏が言う。
「この日の大谷からは、勝ちたいという思いの強さがみなぎっていた。セーフティーバントもそう。そりゃ、ヘバりますよ。準決勝以降は相手もそういうモチベーションでくる。簡単な戦いにはなりませんが、17年の代表には青木宣親(当時アストロズ)だけだったメジャーリーガーが、今回は大谷翔平やヌートバーとバリバリのレギュラー選手がいる。これは大きい。これだけ盛り上がった日本を離れることで、プレッシャーも軽減される。世界一の可能性は十分にあるとみています」