「陛下にもっと近くでご覧に入れたかった」春日野理事長の皇室への思いは遠い昔か
米大統領と安倍首相が来場した際は警備のために1000席使用
2010年名古屋場所、野球賭博で多数の処分者を出した相撲協会は、天皇賜杯の授与を自粛したところ、賜杯なき優勝を果たした白鵬(現宮城野親方)に天皇陛下(現在の上皇さま)からねぎらいのお手紙が届いている。
だが、令和元年の19年夏場所、ドナルド・トランプ米大統領が安倍晋三首相とともに来場した際は1階升席にいすを並べて観戦した。警備のために1000席使ったともいわれている。春日野さんが健在だったらどう思ったか。
そして今年2月23日の天皇誕生日。両陛下がコロナ以降初めて、事前抽選のない一般参賀に臨まれ、国民の祝福を受けたその日、相撲協会は何をしたか。
臨時理事会を開き、宮城野部屋の北青鵬が起こした暴力事案の処分を決めて発表した。
20歳未満の力士の飲酒など法令違反を犯しても示さないことがあるコンプライアンス委員会の調査内容を、この時は詳しく発表し、メディアに「睾丸平手打ち」などの文言が飛び交った。天皇誕生日のニュースを押しやるように。この日を選んだ理由を、どう「ご説明」するのだろう。(おわり)
▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。