「介護で会社を辞める前に読む本」山下哲司著
近年、毎年10万人が介護を理由に職場を離れているという。人ごとではない。明日はわが身かもしれない。特別養護老人ホームでは入所を待つ待機老人が長蛇の列をなす。今後ますます要介護者は増え続けるだろう。
どうしよう? という差し迫った課題に対して、著者はひとつの解決策を提示している。それは「リハビリ型デイサービス」。専門の器具とプログラムを使ったリハビリによって、運動機能を回復、あるいは維持し、それによって当たり前の自立した生活を送ることを目指す新しい発想のデイサービスだ。
著者はリハプライドFCというフランチャイズビジネスを展開し、全国120カ所でデイサービス施設を運営している。要支援、要介護の認定を受けている人が、介護保険を使って利用できる。高齢者を子ども扱いせず、介助はできるだけしない。マシンを使ったリハビリは負荷が少ないものだというが、スポーツジムのようにも見える。実際にリハビリをして、自信と誇りを取り戻した人の体験談も紹介されている。
要介護者を「お客さま」と位置づけ、「究極のサービス業」を目指す。このビジネスマインドは、介護業界に新風を吹き込むかもしれない。(ダイヤモンド社 1400円+税)