「沈黙のパレード」東野圭吾著
町の食堂の看板娘だった19歳の女性が、ある日突然姿を消した。人目を引く容貌と群を抜いた歌の才能で地元の人気者だった彼女の失踪に、町中の人が心を痛めていたが、何の手掛かりもないまま3年間が経過した。
そんな矢先、ある不審な火災現場でその娘が老婆と一緒に焼死体となって発見された。捜査線上に浮かんだのは、かつて少女殺しの容疑で身柄を拘束しながら自白を引き出せないまま無罪となった男。捜査にあたった草薙が危惧した通り、結局状況証拠しか見つからないまま、今回も再び証拠不十分で釈放されてしまった。さらに男は被害者家族の前に現れ、冤罪をかぶせられそうになった被害者だといって賠償金まで要求し始める。そんななか行われた町の秋祭りパレードの当日、男が原因不明の死を遂げたというニュースが飛び込んできた。果たして、この事件の真相とは……。
物理学者・湯川学が天才的な推理力で事件の謎を解くガリレオシリーズの最新刊。今回も、米国帰りの湯川のもとに警視庁の草薙から難問が持ち込まれる。最後まで気を抜けない展開で、ガリレオファンは楽しめること必至。 (文藝春秋 1700円+税)