「うちの父が運転をやめません」垣谷美雨著
猪狩雅志は、78歳の高齢ドライバーが事故で小学生に重傷を負わせたニュースを聞いて気づいた。うちのオヤジも確か今年78歳になる。
息子の息吹を連れて帰省すると、2人の足元すれすれに車が滑り込んだ。気がつくと、運転席には父がいる。発進も急発進だし、ドアにはへこみがある。運転を代わると言っても聞かない。
だが、父が運転をやめたら買い物に行けなくなるし、生協も配達してくれず、両親の生活が成り立たない。同級生の博之は、父たちの世代には運転できるのは男らしさの象徴で、免許の返納は本人の尊厳を傷つけると言う。だが、その博之の父が事故を起こして……。
高齢化社会の生き方を考えさせる家族小説。
(KADOKAWA 1600円+税)