55歳が境界線 睡眠は「たっぷり」より「コンパクト」が心地いい
なかなか寝付けないのに、早朝に起きてしまう。夜中にちょっとした物音で何度も目が覚めて眠れなくなる……。年をとってから表れ始めた睡眠の悩みを抱えている中高年は多い。それが原因で、不眠症になってしまうケースもある。高齢者には高齢者に合った睡眠対策が必要だ。
全国で睡眠セミナーを開催している作業療法士の菅原洋平氏が言う。
「加齢とともに睡眠は変化していきます。睡眠時間が少なくなるのは、基礎代謝量が低下し、日中のエネルギー消費量も低下するからです。使われるエネルギーが少ない分、体が必要とする睡眠量は少なくなるのです。また、脳の働きも関係しています。脳は昼間にため込んだ情報を睡眠中に整理します。年齢を重ねると<過去の経験>が増えるので、新しい情報が入ってきてもそれをつなぎ合わせるだけで処理できるようになる。その分、睡眠時間も少なくて済むのです」
朝早く目覚めてしまうのは、<睡眠>と<覚醒>のリズムが前倒しになるからだ。睡眠は大きく<前半>と<後半>に分かれている。前半はぐっすり眠ることで成長ホルモンの分泌を促し、後半はすっきり覚醒するためにコルチゾールという物質を分泌させる。