一生腕が上がらないことも 甘く見ると怖い「五十肩」
「肩に部分麻酔をかけ、5ミリの穴を4カ所開けて、そこから4ミリの内視鏡を入れます。肩峰の裏側のトゲを取り、肩の関節の癒着をはがし、腱板の傷をきれいに治す根本治療なので、拘縮肩の人も腕が肩の高さ以上に上がるようになります」
2泊3日の入院で、術後は3カ月ほどのリハビリが必要だ。仕事に復帰できるのは、デスクワークなら術後1週間が理想。健康保険が適用されないので、入院費含めて10万円前後かかる。
「これまで400例ほど手術をしていますが、術後の感染症などは一例も起こっていません」
■糖尿病の人は悪化しやすい
神戸准教授は五十肩の患者を調べる中で、意外な事実を突き止めた。
「手術前には血液検査などを行います。97人のデータを調べたところ、男性の3割が糖尿病でした」
さらにその後の研究で、「今は血糖値が基準値内で糖尿病でなくても、家系に糖尿病がいる人まで含めると5割近くが重症化すること」「心臓、肝臓、肺に異常がある人も重症化しやすいこと」が分かったという。
「糖尿病の人は免疫力が低下しているので腱板の傷が治りにくい。心臓、肝臓、肺の疾患も傷の治りにくさに関係しています。そのため、五十肩になりやすく、重症化しやすいのです」
該当する人は早く手を打つべき。服を脱ぎ着するのにも苦労する生活になる前に。