従来治療薬には弱点が 「逆流性食道炎」克服3つのポイント
しかし残念ながら、逆流性食道炎の治療を受けているのに、苦しみが続く人が少なくない。三輪教授が2010年にPPI服用中の逆流性食道炎の患者117人の調査を行ったところ、患者の約3人に2人が、週1回以上、逆流性食道炎の症状が出ていた。「毎日」と答える人も12%いた。
「PPIは最大効果を得るまでに3~5日間かかる上、夜間の酸分泌を十分に抑制できません。また、遺伝的に持つある酵素の働きで薬の代謝スピードが異なり、PPIが非常によく効く人とそうでない人とがいる。そんな3つの弱点があるのです」
■従来品をカバーした新薬は治癒率向上
では、逆流性食道炎の苦しみから逃れるには、何を知っておくべきか?
まずは、最近発売された新薬「P─CAB」だ。
「これまでにない機序を持つPPIで、既存の薬の3つの弱点をクリアしています」
開発した武田薬品工業によると、逆流性食道炎のグレードC・D(A~Dの4段階に分類。Aが軽く、Dが重い)に対しての、既存のPPIと新薬の比較試験では、投与2週間目で既存の治癒率が63%、新薬が88%。4週間目では既存80%、新薬96%という開きが出た。