市販薬で風邪は治らないのか
この疑問に答えるのは、池袋大谷クリニックの大谷義夫院長。
「市販薬に風邪を治す効果がないのは事実です。ただ、『処方薬なら風邪が治る』とも言えません」
大谷先生によると、医療機関で処方される「風邪薬」は抗生物質であることが多いそう。しかし風邪の8割以上はウイルスが原因で、風邪のウイルスに効く薬は存在しません。つまり8割以上の風邪には、一般的な処方薬は効かないのです。
「抗生物質が効くのは、細菌性の風邪。黄色や緑色の鼻水・痰が出たり、喉に膿があったり、38度以上の高熱が数日続いたりする場合です。それ以外でも一律に抗生物質が処方される傾向にありますが、私には意味があるとは思えません」
その上、抗生物質をむやみに使用すると、耐性ができて効きづらい体質になりかねません。このことは、日本呼吸器学会でも問題視されています。
一方、市販の風邪薬は咳や鼻水、発熱など風邪の諸症状を緩和するためのもの。「早く治したい」と思って飲んでも、市販薬で治ることはないわけです。
「むしろウイルスを排出する咳やくしゃみが抑えられ、悪化する恐れもあります。風邪は放っておいても1週間程度で治りますから、薬の使用は仕事でどうしても必要な時など、最低限にとどめたほうがいいでしょう」
それよりも休息と安眠、栄養補給を!