軽症ならほぼ完治なのに 「ケロイド治療」意外な落とし穴
次に、前出の通り、保存治療で治る患者がほとんどだということを知っておく。
「私は、肥厚性瘢痕やケロイドの箇所、大きさ、患者の既往症、全身状態などから総合的に判断し、複数の治療からベストのものを選びます」
しかし、ケロイドの治療に詳しくない医師は、痛みを伴う注射だけで治療を進めたり、不十分な作用の貼り薬を延々と使う。それが「治療を受けたが、よくならなかった」という結果につながる。受診するなら、複数の治療の選択肢を提示する医師を選んだ方がいい。
さらに、手術の場合は放射線治療を組み合わせると再発リスクが減ることを押さえておこう。
「症状の程度によっては手術が治療の第1選択になります。一方で、手術は肥厚性瘢痕やケロイドの再発を招くリスクがある。そのため、手術を勧めない医師もかなりいますが、放射線治療との組み合わせで再発リスクが2~3割以下に抑えられるのです」
ケロイド治療で用いられる放射線の線量はがん治療より少なく、50年近い臨床と研究によって「この箇所にはこれくらいの線量」というプロトコルが現在は確立されつつある。
肥厚性瘢痕やケロイドと診断されれば、治療は保険適用。対応する科は形成外科になる。