治療の難題をクリア 「進行パーキンソン病」新薬の実力

公開日: 更新日:

 次に、「胃内容物排出遅延」がある。

パーキンソン病では胃など消化管の働きが悪くなり、胃内容物の排出に遅れが生じます。すると、薬剤が小腸で吸収されるタイミングにばらつきが生じ、薬物血中濃度を安定して維持するのが難しくなるのです」

 空腸へ直接、16時間持続して投与する新治療薬なら、この2点の問題がクリアできる。

 臨床試験では、重度の運動症状が見られる進行期パーキンソン病患者が、新治療薬に切り替えた。すると、投与12週間後には、1日当たりの平均オフ時間(薬の効果が切れて動けなくなる時間)が、既存薬より大幅に減少した。その後、52週以降の評価でも、明らかな差ができた。

 これまでのパーキンソン病の薬は、数年すれば効きづらくなっていたが、今回の新治療薬は世界でも2年間のデータしかないので、その点は分からない。

「しかしこの薬の利点は、患者さんに応じて投与の量を調整できるところ。経口薬では、副作用を心配して十分量使用できない傾向があったが、それが、効き目を見ながら微調整できるのは大きいです」

 新治療薬で「希望が生まれた」と話す専門医もいるという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…