歌えなくなったら…木山裕策さんの運命変えた後悔と挑戦
私は、歌うことが大好きで、幼い頃から何十年間、土日のどちらかは自室にこもって2時間、思いっきり歌うという習慣がありました。ドアも窓も閉め切りますが、近所でも知られた“変なおじさん”だったんです(笑い)。もちろん、しょっちゅう会社の仲間とカラオケにも行っていました。歌手でもないのに「歌えなくなったらどうしよう」と不安になるのは本当におかしな話なんですけど、すっかり頭が混乱してしまったんです。
その結果、妻に「もし、声が出なくなる手術になりますと言われたら“いったん閉じてください”って先生にお願いしてくれ」と伝えました。いま思えば、「いったい何を言っているんだ」と言いたいくらいの訴えです(笑い)。妻も、その場は「わかった」と答えてくれましたが、後から「すぐ切ってくださいって言うつもりだった」と笑っていました。そりゃそうです(笑い)。
術後、気が付くと喉から管が出ていて、血液や体液がたまった箱のようなものが目に入り、急に病人になった気がしました。もちろん、麻酔が切れた傷口の痛みは想像以上で、その日は痛みで眠れませんでした。