長寿のもと? 従来の悪玉「ケトン体」なぜ注目されている
いまではSGLT2阻害薬は糖尿病というより、循環器疾患の薬として活用しよう、ということで循環器の医師や研究者が研究を始めているという。
実際、日本の厚労省にあたる米国食品医薬品局ではSGLT2阻害薬を心臓病の薬として認可する方針だといわれている。
ケトン体の利点はそれだけじゃない。脳神経のエネルギー代謝を改善し、活性酸素や炎症から神経細胞を保護する作用もある。既にてんかんの治療法として体内のケトン体をあえて高い状態に保つ「ケトン食」が使われているが、アルツハイマー病やパーキンソン病などの脳神経細胞障害の抑制にも有効であるとの報告が上がってきている。
「ケトン体が健康・長寿のもとになる可能性も囁かれています。基礎医学の分野では、ケトン体の一種がエネルギー制限による寿命の延長をもたらすメカニズムに関係しているとカリフォルニア大学の研究グループが報告しています」
ケトン体にはアセト酢酸、β─ヒドロキシ酪酸、アセトンの3種類あり、アセトンは呼気に排泄されるが、アセト酢酸とβ─ヒドロキシ酪酸はエネルギー源として使われる。最近の研究ではβ─ヒドロキシ酪酸は、寿命の制御に関係しているヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害し、酸化ストレスの耐性遺伝子の発現を促し、酸化ストレスを抑制することがわかっているという。