前立腺がん 30年間で患者数5倍増も死者数は横ばいのナゼ
原因は前立腺がん検診、とりわけPSA検査の普及にあることが明らかになりつつあります。PSAは血液から前立腺がんの有無を判定するスクリーニング検査です。手軽で感度がいいことから、世界中で普及し、日本でも会社や自治体の健診に広く採用されています。
■欧米はPSA検査を控え始めた
実は前立腺がんの多くは大変おとなしく、放っておけばほとんど悪さをしないことが分かっています。しかも75歳以上の3人に1人は、これを持っているともいわれています。いわば老化現象のようなものなのです。したがってPSA検査を行えば、とりわけ高齢者で「異常」が多く見つかります。すると精密検査をしたくなり、結果として患者が急増したというわけです。年齢調整罹患率が増えても、死亡率があまり変化していないのはそのためです。
欧米ではすでにPSA検査を控える動きが出始めており「患者」が徐々に減りつつあります。しかし、日本では逆にもっとPSA検査を普及させようとしています。受けるかどうかは、あなた自身の選択です。