発症11年 囲碁棋士・木部夏生さん「糖尿病と対局」語る
「Ⅰ型糖尿病」を発症したのは小学校4年のときです。これは生活習慣病の「Ⅱ型糖尿病」とはまったく違うもので、何らかの原因で誤ってリンパ球が内乱を起こし発症する、自己免疫疾患といわれています。子供が発病することが圧倒的に多い、ちょっと珍しい病気です。
わかったきっかけは“母の勘”としかいいようがありません。ちょっと面白いんです、うちの母(笑い)。
ちょうど日本棋院の院生になったばかりで、成績も良く「さぁ、これから」というときでした。急に食欲が増して、おやつにオムライスなどボリュームのある食事を取るようになったんです。それなのに体重は減って、体はだるくて、だんだん起き上がるのもつらくなり、いつもソファで寝転がっていました。その1~2カ月間は、自分でも「何かおかしい」と思ったのは覚えています。でも、毎週末の東京通いの疲れだと考えていました。
そんな様子にピンときた母が、ある日、薬局で糖尿病の検査キットを買ってきたんです。たぶん、ネットや本で調べたんでしょうね。リトマス試験紙みたいなものに尿をかけて色の変化を見るというもので、案の定、一番濃い色になりました。