人工骨はもう必要なしに? 「歯科インプラント」最新事情

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「患者さんは、左上の奥歯にインプラントを入れようとして、2センチ近い骨の造成を行っていました。ところが、そこが感染して骨造成部分がボロボロになり、後鼻から喉の方に膿が流れ出ている状態になっていたのです」

 それを解決したのが、細胞外マトリックス(ECM)理論に基づく自家骨再生療法だという。

「カラダの中の細胞は、細胞外マトリックスと呼ばれる骨組みの中にはまり込むように存在しています。例えば骨は、カルシウムを中心にした硬いマトリックスに骨を作る細胞がはまり込んでいます。このマトリックスは骨を作る細胞たちが作り出したものです。骨を再生したければ、骨を作り出す細胞が自分のすみかであるマトリックスを作り出せる空間を与え、そこに骨以外の組織が入り込まないようにすれば、自然に骨が再生するのです」

 それには、わざわざ異物である人工骨を使う必要はないのだという。

「具体的には骨を再生したい部分を専用のシートで覆い、必要ならコラーゲンや患者さん自身の血液由来のフィブリンをその中に入れておけば、より早く再生します」

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